赤字決算でもファクタリングを検討できる場合はありますが、「赤字なら必ず使える」という意味ではありません。売掛債権の存在、売掛先の支払能力、契約条件、自社の取引状況が確認されます。
この記事の結論
- 赤字の有無だけでなく、確定した売掛債権と入金実績が重要になる
- 自社の信用や税・社会保険料の状況が一切無関係とは限らない
- 利用後の入金減少を織り込んだ出口計画がない場合は契約しない
赤字でも検討対象になり得る理由
融資は将来の返済可能性を審査するのに対し、ファクタリングは既に発生している売掛債権を売買する取引です。そのため、自社の最終利益だけでなく、債権が実在するか、売掛先から予定どおり回収できるかが重視されます。
ただし、架空債権、二重譲渡、長期延滞、契約上譲渡できない債権などは対象になりません。自社が集金する契約では、自社の管理状況や過去の入金履歴を確認される場合もあります。
申込前に用意する資料
- 売掛先との基本契約書・発注書・納品書・請求書
- 過去の入金を確認できる通帳
- 直近の試算表・決算書・確定申告書
- 税・社会保険料の納付状況と相談記録
- 既存のファクタリング契約と債権譲渡登記の有無
都合の悪い情報を隠すと、審査中断や契約違反につながります。赤字理由が一時的か構造的かも説明できるようにします。
赤字企業が特に確認すべき資金繰り
売掛金100万円を期日前に売却すると、手数料等を引いた額だけが先に入り、本来の入金日にはその100万円を自由に使えません。営業赤字が続いている場合は、売掛金を前倒ししても不足時期が移るだけです。
- 利用しない場合の不足日と不足額を出す
- 利用後の手取り額を反映する
- 本来の入金日に使える現金が減ることを反映する
- 粗利改善、固定費削減、入金条件交渉などの効果を月別に置く
- 公庫・銀行・中小企業活性化協議会等への相談時期を決める
向かないケース
- 確定した事業者向け売掛債権がない
- 毎月利用しないと給与や税金を払えない
- 手取り額を得ても今回の不足額に届かない
- 契約後の売掛金入金日に、別の支払いが不足する
- 契約書の償還請求・買戻し・違約金を理解できていない
構造的な赤字の場合は、短期資金化だけでなく、収益改善計画と金融機関との調整を優先します。中小企業活性化協議会では、収益力改善計画の作成支援が案内されています。
参考にした公的情報
- 金融庁「ファクタリングの利用に関する注意喚起」:債権売買と偽装貸付けの注意
- 中小企業庁「収益力改善支援」:収支・資金繰り計画の公的支援
よくある質問
Q1. 債務超過でも利用できますか?
検討できる場合はありますが、売掛債権や契約条件の審査があります。債務超過だけで可否を断定することはできません。
Q2. 税金を滞納していても利用できますか?
一律に可否は決まりません。差押えや債権の帰属に影響する場合もあるため、滞納を隠さず、税務署への相談とあわせて確認してください。
Q3. 赤字から抜けるために継続利用してよいですか?
継続利用は手数料分だけ将来の入金を減らします。収益改善と利用縮小の計画を作れない場合は、別の支援機関や金融機関への相談を優先してください。